AIモード(AI Mode)とは?──検索が“会話”に変わる新時代のはじまり

AIモード(AI Mode)のイメージ画像

2025年、Google検索にAI Mode(AIモード)とは何か、そしてそれが私たちの検索体験・ビジネスにどんな変化をもたらすのかを、マーケター視点で解説します。キーワードは「検索が会話になる」こと。AI検索時代の実務対応(LLMO)まで一気に把握しましょう。

1. はじめに:検索の中心が「リンク」から「文脈」へ

2025年、Google検索に「AIモード(AI Mode)」が正式導入されました。これは単なるUI変更ではなく、インターネットが「知識の地図」から「意味の対話空間」へ変わる転換点です。従来はページを見つける手段だった検索が、ページではなく“答え”を直接やり取りする体験へと移行しています。

2. AIモードとは?Google検索の“生成AI化”

AIモードは、Googleが提供する生成AIベースの対話型検索機能です。自然文の質問に対してAIが複数のウェブサイトを横断し、要点を再構成して提示します。つまり「検索+要約+理解」を一体化した、人間の知的行動を模倣する検索体験と言えます。

主な特徴

① 対話型検索

「〇〇と△△の違いは?」→「ではおすすめは?」と連鎖的に深掘りできるのが本質。単発ではなく思考の流れを理解するAIです。

② 要約と文脈理解

単なる抽出でなく、複数ページの意味を再構成。単語一致ではなく文脈(コンテキスト)の整合性で情報を統合します。

③ マルチモーダル検索

画像・音声・テキストを組み合わせた検索が可能。「この写真の建物の名前と歴史は?」のように、視覚と言語の橋渡しを行います。

④ 複雑な質問への対応

「名古屋から京都まで最も安く早い移動は?」のような意思決定型の質問にも対応します。

3. 日本語対応の開始と進化の背景

2025年9月、日本語でもAIモードが利用可能に。背景には大規模言語モデル(LLM)の文脈理解精度の飛躍があり、「文脈依存の推論」や「ファクトの再構成」により、日本語でも自然で正確な回答が可能になりました。

4. 「AIモード」と「AIによる概要(AI Overviews)」の違い

混同されやすい2つの機能の違いを整理します。前者はAIと一緒に考える体験、後者はAIの意見を“聞く”体験です。

AI Overviews と AIモード の違い
機能名 概要 表示の範囲
AIによる概要 検索結果の上部にAIがまとめた短い要約を表示 ページの一部
AIモード 検索結果全体がAIとの対話UIに切り替わり継続会話が可能 専用インターフェース

5. 企業が直面する“AI理解”の壁

勝負を分けるのは「検索上位」ではなくAIがどのブランドを引用するか。ただしその基準はブラックボックスです。Googleが定義する信頼構造の中で、どの企業をどの文脈で参照するかが自動決定されます。ゆえにAIが自社をどう理解しているかを把握できなければ、戦略的発信は困難です。

6. SEOからLLMOへ:AI検索に最適化するという考え方

従来のSEOは「検索エンジンに好かれるテキスト構造」の最適化。AIモード時代は、AIが正しく理解・引用できる情報構造を設計する「LLMO(Large Language Model Optimization)」が要諦です。

SEO と LLMO の比較表
観点 SEO最適化 LLMO最適化
主な対象 Google/Bing などの検索エンジン 大規模言語モデル(生成AI)
KPI 検索順位、オーガニック流入 AI回答での引用・言及率、AI検索チャネルからの流入
最適化の手法 キーワード、内部リンク、被リンク 論理構造・根拠明示、著者信頼性、要約文整備
資産 ページ・記事 ブランドとしての根拠群(実績、データ、著者保証など)

実装のポイントは、記事・FAQ・事例・一次データを再構成し、著者・監修のE-E-A-Tを明示、要約文・定義文を整えることです。

7. 企業が取るべき次の一手:AI検索での“見られ方”を可視化せよ

最大の課題はAIが自社をどう見ているかが見えないこと。順位やCTRでは引用構造を把握できません。ゆえに、AI検索での「言及・並列関係・文脈」を定点観測し、仮説検証を回す基盤が必要です。

8. LLMO Insight:AI検索上の「見られ方」を数値化するレポーティングサービス

LLMO Insightは、ChatGPTやGoogleのAIモードで自社・競合がどのように扱われているかを解析し、AIがどんな文脈で・どの企業と並べて引用しているのかを定量的に可視化します。AI時代の“新しい検索順位表”とも言える指標をご提供します。

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この記事の監修者

芝 優作(しば ゆうさく)

MIRAINA 代表/生成AIコンサルタント

中小企業向けに、業務効率化・AI導入支援・研修・RAGチャットボット開発を提供。九州大学大学院でLLMに関する研究にも従事。