1. Gemini agentとは

Gemini agentは、質問への回答だけでなく、仕事の目的を受け取り、必要な情報を探し、複数の作業を進めて結果を返すことを目指すGoogle Cloudの業務向けAIエージェントです。Google Cloudは2026年10月、Gmail、Drive、Docs、Sheets、Chat、Calendarなどで同じ記憶・スキル・管理機能を持って働く構想を発表しました。メールの要約だけで終わらず、資料を読み、予定と照らし、次の下書きを作る、といった流れを一つの目的として扱う点が特徴です。

ただし、発表内容は企業向けのGemini Enterpriseを含むものです。「今使っている個人向けGeminiやGoogle Workspaceで、同じ機能がすぐ全て使える」とは限りません。契約プラン、国・地域、組織の管理設定、接続を許可したアプリによって使える範囲は変わります。まずは自社の管理者または公式案内で、利用可否と権限を確認してください。

2. 発表で変わる仕事の頼み方

Google Cloudの発表では、Gemini agentは質問への応答、知的作業、コンテンツ作成、コード作成を一つの窓口で扱い、目的に応じてスキルやツールを使うと説明されています。Workspace内では、たとえばいつもの会議参加者を含む日程調整、資料をまたぐ市場調査と表・スライドの作成などが例として示されています。図1は、Google Cloud公式ページに掲載された依頼画面のイメージです。

Google Cloud公式ページに掲載されたGemini agentの依頼画面
図1:Google Cloud公式ページに掲載されたGemini agentの画面例。週次の準備状況レポートや製品ローンチ資料のタスク例が示されています。

便利そうな機能を見ると「全部自動にして」と頼みたくなります。しかし、実際に仕事へ使うときは、AIの仕事を整理・下書き・実行に分けるのが安全です。整理は候補出しまで、下書きは送信前まで、実行は人の承認後、と境界を決めておくと、結果の確認も改善もできます。

頼む段階最初に向く依頼人が残す判断
整理メール・会議メモを優先度別に並べる重要度と対応方針
下書き返信案、会議アジェンダ、作業表を作る事実・宛先・表現の確認
実行承認済みの定例作業を実施する送信、公開、発注、権限変更

3. 最初に使う3つの質問

AIに「何を頼めばいいか」で止まる人は、完成を一度に頼まず、仕事の見取り図を作らせることから始めましょう。以下はGemini agentの有無にかかわらず、普段使っている生成AIでも使える質問です。角括弧の部分だけ、自社の状況に置き換えてください。

今日の優先順位を決める質問
以下の[メール件名・会議予定・作業メモ]を、今日対応する順に整理してください。表には、仕事の目的、締切、次にすること、判断が必要な人、不足情報を入れてください。資料にない事実は補わず「要確認」としてください。社外への送信や予定の登録は実行せず、下書き・候補までにしてください。

[情報]
会議準備を頼む質問
[会議名]の準備を手伝ってください。参照してよいのは[フォルダ・会議メモ・メールの範囲]だけです。前回の決定事項、未完了の作業、今回決めることを分けて、30分のアジェンダ案を作ってください。根拠となる資料名と日付を各項目に付け、見つからない情報は推測せず質問として残してください。
依頼メールの下書きを作る質問
[相手・目的・締切・前提]をもとに、依頼メールの下書きを作ってください。確定していない日付・金額・担当者は空欄にし、確認が必要な点を本文の後に箇条書きにしてください。送信はせず、丁寧な文面と短い件名をそれぞれ3案出してください。

共通しているのは、AIに渡す情報、出してほしい形、推測してよいか、人が止める場所を先に書いていることです。短い指示でも「何を根拠に、どこまでやるか」が伝われば、回答を確認しやすくなります。プロンプトの基本形は、ChatGPTのプロンプトの書き方も参考にしてください。

4. 任せる前に確認すること

AIエージェントは、メール、ファイル、予定、顧客管理ツールなどをつなぐほど便利になります。同時に、見せる情報と実行できる操作が増えます。Google Cloudも、エージェントごとのID、最小権限、操作ログ、触れてはいけない情報を決めることをガバナンスの要素として挙げています。ツールを接続する前に、次の3点を決めてください。

見せてよい情報を一段ずつ増やす

最初から全Driveや全メールを対象にせず、一つの共有フォルダや、期限切れのない会議メモから始めます。個人情報、見積額、契約、採用などを含む情報は、社内ルールと権限設定を確認してから扱います。

実行の前に承認を置く

送信、公開、カレンダー登録、顧客情報の更新、発注は外部へ影響します。AIには「候補を作る」「下書きに保存する」までを任せ、誰が何を見て承認するかを残してください。継続業務の範囲設計は、AIエージェントに仕事を任せる前に決める3つのことで詳しく解説しています。

正しさを元資料へ戻って確認する

画面上の表や文章が整っていても、元メールの日付、資料の版、数字の単位が正しいとは限りません。回答に資料名・更新日・不明点を付けさせ、重要な判断は原本へ戻って確認します。調査結果の根拠を確かめる質問は、AIの出典確認をご覧ください。

5. AIが引用・参照しやすい情報

人が生成AIに「AI導入支援をしてくれる会社を、費用・得意な業務・事例で比べて」と尋ねたとき、AIは個別の記事やサービスページから答えを組み立てます。引用されやすいのは、サービス名だけが並ぶページではなく、対象者、できること、条件、実績の根拠、更新日、相談先が一つのページで確認できる情報です。

同じ原則は社内にも使えます。「営業資料」という名前だけのファイルより、「対象顧客/提供内容/価格の条件/最終更新日/責任者」を資料の冒頭に置く方が、AIも人も正しい情報へたどり着きやすくなります。MIRAINAの視点:AIエージェントの導入は、新しいツールをつなぐことだけでは完了しません。AIが参照する情報と、人が確認する流れを一緒に整えることで、回答や下書きを安心して次の仕事へ使えるようになります。

6. まとめ

Gemini agentは、メール、資料、予定といった日々の情報をまたいで仕事を進めるAIエージェントの方向性を示す発表です。利用できる機能は契約や設定で異なるため、まずは「情報を整理する」「下書きを作る」仕事から小さく試しましょう。目的、参照してよい範囲、出力形式、人が承認する場面を質問に添えることが、AIを仕事で役立てる第一歩です。

MIRAINAの生成AI活用支援では、業務の棚卸し、AIへ渡す情報の整理、権限・承認フロー、現場で使える質問の作成まで支援しています。AIを使っているのに業務へつながらないと感じる方は、ご相談ください。

参考リンク(2026年10月9日確認)