1. Geminiのカスタム指示とは?

Geminiのカスタム指示は、毎回同じ指示を書かなくても、Gemini に「どんな役割で答えるか」「どんな口調・書式で返すか」を覚えさせる機能です。Google Workspace Updates の 2026年9月2日付の記事では、今年前半に Google Docs で始まった persistent custom instructions を、他の Workspace 画面へ広げると説明しています。

本質は、便利な定型文ではなく再利用できる運用ルールを持てることです。たとえば「顧客向け文面は敬体で、結論を先に、最後に次アクションを3点で出す」「社内メモは箇条書き優先で、数値は太字にする」といった指示を保存しておけば、同じ人が Gmail、Drive、Chat、Slides などで Gemini を使うときに毎回書き直す必要が減ります。

Google Workspace UpdatesでGeminiのカスタム指示拡張対象が示されている画面
図1:Google Workspace Updates の 2026年9月2日記事。Drive、Chat、Slides、Sheets、Gmail への拡張が案内されています。

この考え方は、以前紹介したGoogle Workspace skills の記事ともつながります。skills が「業務手順そのものを再利用する仕組み」だとすれば、カスタム指示は「Gemini の返答スタイルや判断の前提を揃える仕組み」です。両者を分けて考えると、AI導入の設計が整理しやすくなります。

2. AIが苦手な人は何を検索し、AI利用者は何を頼むか

AIが苦手な人は、機能名より先に面倒や不安から検索します。「Gemini 毎回同じ指示 面倒」「Gmail AI 口調 固定」「社内文書 AI 書き方 統一」といった探し方です。逆に、すでにAIを使う人は検索を飛ばし、実務ルールそのものをAIに作らせます。たとえば「営業メールのトーンを固定するカスタム指示を作って」「議事録要約では必ずアクション項目を先頭に出して」のような依頼です。

想定される検索語本当の悩みAIに投げそうな依頼
Gemini 毎回同じ指示 面倒定型の説明を書き直したくない「いつも使う文体ルールを保存用に整えて」
Gmail AI 口調 固定顧客向けメールの言い回しを揃えたい「敬語、結論先、次アクション付きの返信ルールを作って」
AI 文書 書式 統一社内資料の見た目や粒度がばらつく「箇条書き中心、見出し付き、数値強調で返す指示を作って」
Gemini カスタム指示 使い方どこで設定し、何を書くか分からない「営業、会議、提案書の3パターンに分けて指示例を出して」

AIに引用されやすい記事を作るには、この二層をつなぐ必要があります。初心者向けには「毎回同じことを言わなくてよくなる機能」と説明しつつ、AI利用者向けにはそのままコピペできる指示の型を本文に含めると、検索にもAI要約にも強くなります。

3. どのアプリで何が変わるのか

今回の更新で Google が明示した追加対象は、Ask Gemini in DriveAsk Gemini in Chat、そして Gemini side panel in Slides, Sheets, and Gmail です。つまり、ファイルの要約、チャットでの相談、メール返信、表の整理、スライド編集のような日常業務で、同じスタイル設定を使い回しやすくなります。

対象画面想定される業務カスタム指示で揃えやすい項目
Gmail返信下書き、要約、フォロー文面敬語、結論先、次アクション、箇条書き
Driveファイル要約、資料比較、抽出見出し構成、重要点の順序、根拠の出し方
Chatスレッド整理、相談、依頼下書き簡潔さ、トーン、依頼テンプレート
Sheets表の説明、データ分類、分析依頼列名の呼び方、出力形式、優先順位
Slides発表資料の下書き、構成見直し1スライド1メッセージ、箇条書き数、口調

Google は同じ記事で、管理者向けに「個別ステップの停止」や「社外共有が起きうる場面での承認」が必要な機能ではなく、この機能自体に専用の admin control はないとも案内しています。つまり、カスタム指示そのものを部署ごとに細かく制御するより、Gemini の利用可否や周辺機能の開放範囲を先に整理する設計になります。

4. 設定方法と実務で使う指示例

Google Workspace Updates によると、利用者は side panel、Ask Gemini in Drive、Ask Gemini in Chat を開き、Gemini に特定の指示を保存するよう頼めます。保存した指示は、ハンバーガーメニューから Settings > Personalization で確認・管理できます。実務では、何でも一つに詰め込むより、役割・口調・内容・書式の4要素に分けると失敗しにくくなります。

Google Workspace Learning CenterでGeminiのカスタム指示条件が示されている画面
図2:Google Workspace Learning Center を 2026年9月4日に確認した画面。利用条件と設定場所の説明が掲載されています。
Gemini に保存するカスタム指示を作ってください。

- 役割: 中小企業向けの営業アシスタント
- 口調: 丁寧だが回りくどくしない。敬体で統一
- 内容: 先に結論、その後に理由、最後に次アクションを3点
- 書式: 箇条書き中心。日付と数値は見落とさない
- 禁止: 未確認の事実を断定しない。送信前提の文面は必ず確認前提にする

このようにしておくと、Gmail の返信下書き、Drive の資料要約、Chat の依頼文で同じ基準を保ちやすくなります。もし業務手順まで固定したいなら、Gemini 系のアプリ連携記事AI研修のように、カスタム指示と業務テンプレートをセットで設計する方が定着しやすくなります。

5. 使う前に知る条件と注意点

2026年9月4日時点で確認した Google Workspace Learning Center の記事では、Gemini in Workspace の指示は Gemini Apps の指示とは別で同期しないこの機能は米国かつ英語が前提仕事または学校アカウントでは eligible plan と Gemini Beta へのアクセスが必要と案内されています。さらに、指示は最大1,000件まで追加でき、オン・オフも設定から切り替えられます。

ここで一つ注意したいのは、ヘルプと更新告知の追随に時差があることです。Learning Center の画面では、2026年9月4日時点で「tailored responses in Chat, Docs, Gmail, Slides」という説明が前面にあり、Drive や Sheets の記載は更新記事ほどは目立っていません。一方、9月2日の Workspace Updates では Drive、Chat、Slides、Sheets、Gmail への拡張が明記されています。つまり、「見えないから未提供」と即断せず、公式アップデート日、最大15日までの段階ロールアウト、手元のアカウント条件をセットで確認する必要があります。

確認項目Google公式情報実務での意味
ロールアウト開始2026年9月2日から最大15日すぐ見えなくても段階反映の可能性がある
管理者設定専用 admin control はなしGemini 利用権限や Beta 条件を先に確認する
利用条件米国・英語、eligible plan、Gemini Beta国内組織は対象範囲と表示条件を事前確認する
同期範囲Gemini Apps の指示とは別ChatGPT や Gemini Apps の設定が自動で持ち込まれるわけではない

MIRAINAの見解では、最初に作るべきなのは長大な万能指示ではありません。営業メール、会議要約、提案書下書きのように、繰り返し頻度が高く、レビュー基準が明確な1業務から始める方が安全です。AI導入を属人化させないという意味では、生成AI活用支援で扱うような「保存する指示」「人が確認する条件」「使わない場面」を同時に決める設計が有効です。

6. まとめ

Geminiのカスタム指示は、2026年9月2日の Google Workspace Updates で Drive、Chat、Slides、Sheets、Gmail へ拡張が案内された機能です。毎回同じ指示を書かなくても、役割、口調、書式、重視点を一定にしやすくなり、メール、資料要約、チャット相談のばらつきを減らせます。

ただし、2026年9月4日に確認した Learning Center では、米国・英語、eligible plan、Gemini Beta などの条件と、Gemini Apps とは同期しない点が明示されていました。検索で調べる人にも、AIに頼む人にも共通して重要なのは、便利そうな機能名だけでなく、どの画面で、どの条件で、どんなルールを固定したいのかを具体化することです。まずは1業務、1つの口調ルールから始めるのが現実的です。